杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(27) JA改革の加速を 農家と消費者のため

2019/03/11 22:53

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 農業から始まる地域振興を考えると、やはりJAグループの動きが重要になります。読者の皆さんがご存じのように、現在、JAグループは、農協法改正等を受けて、五年間の自己改革集中期間の最中にあります。農業者の所得拡大、農業生産の拡大、地域の活性化の三つの基本目標のもとに、全国組織だけでなく、各県中央会、さらには、各JA単位でさまざまな改革が実施されています。

 JA福島グループでも、このコラムでも指摘してきた農業従事者の減少と原発事故の影響による農業生産力の減少という現実を背景に、二〇二一年度までの「地域農業振興戦略」「組織基盤強化戦略」「経営基盤強化戦略」を実践しようとしているところです。第四十回JA福島大会議案の内容等を参照すると、担い手の育成・支援や第三者認証であるGAPの取得の推進などさまざまな改革を行うことが書かれており、それぞれは的を射たものにはなっています。一定の成果が期待されるところですが、筆者の目線から見ると、少し、物足りなさを感じます。

 というのも、県内の農業の経営体は徐々に二極化しており、既に五ヘクタール以上の経営体が販売農家数に占める割合は十年前に比べほぼ倍のレベルに達していますが、気になるのは、大型になればなるほど、農家のJA離れが進んでいる現実です。他県でもJA離れは進んでいますが、福島の場合、農家が自主的な努力で売り先確保に努め、農作物加工にも熱心に取り組んでこられているのはいいのですが、売り先の広がりを欠き、かつ、価格をかえってコントロールしにくい状況になっているという非効率性も散見されます。このギャップを埋めるために、今あるJAと農家の距離感をどうやって縮めていくのかが大きな課題です。

 都心などで行われる物産展などを見てみると、福島産への風評は依然強いものの、評価は回復していることを肌で感じます。各JAや県中央会も、首都圏の消費者に対しその安全性をホームページやマスコミ等を利用して、科学的根拠を含め積極的にアピールしていくべきでしょう。首都圏や仙台などに県内産農産物の売り込みに行くこと、さらに(既に一部では成功していますが)消費地に認識してもらうためのブランド化を推進し、JA経由での品質保証がより多くの売り上げにつながるというサイクルを作ることが必要だと思います。(中央大大学院戦略経営研究科教授・杉浦宣彦)