音楽で楢葉元気に 嶋川勉さん~会津若松市出身~

2019/03/15 09:41

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合唱隊のメンバーを指導する嶋川さん(右)
合唱隊のメンバーを指導する嶋川さん(右)

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故をきっかけに楢葉町の任期付き職員となった嶋川勉さん(62)=会津若松市出身=は十七日、町内で開かれる「浜通り・ふるさと音楽祭」で自ら作詞した愛唱歌「未来(あした)に向かって」を披露する。練習は佳境に入り、合唱隊を指導する声に熱が入る。「音楽で楢葉を元気づけたい」と誓う。

 元々は東京音大大学院出身のピアノ講師。在学中に世界的奏者・荒憲一氏に師事し、荒氏の出身地である相馬市や相双地方の教室、学校で指導していた。しかし、震災と原発事故で避難生活を余儀なくされた。程なく古里に戻ったが「浜通りの被災者を支えたい」。二〇一一(平成二十三)年八月、隣接する会津美里町に避難してきた楢葉町の宮里仮設住宅で支援員として働き始めた。

 職場は仮設住宅内の児童館「宮里ふれあい館」。子どもの宿題を手伝ったり、ピアノを教えたりするうちに「しまちゃん」と呼ばれ親しまれた。仮設住宅に子どもが少なくなると得意の落語を披露し、うつむきがちだった高齢者に笑顔を届けた。

 二〇一八年三月、仮設住宅の供与期間が終了した。「俺たちが戻ったら、あんたも来るんだべ」。住民から声を掛けられた。楢葉には縁もゆかりもない。しかし、迷いはなかった。最後の住民が仮設住宅を引き払うのを見届けると、楢葉町に夫婦で引っ越した。

 任期付き職員として町教委に勤め、市民大学で住民に合唱などを教える。音楽祭では中心的な役割を担う。新たな歌を作ろうという呼び掛けを受け、作詞に名乗りを上げた。市民大学の受講生で合唱隊も結成した。

 ♪風が見える 光の中に 風が聞こえる 海の向こうに-。町の豊かな自然と将来への希望を歌詞に盛り込んだ。「歌が住民たちの心をより強く結び付け、復興への力になる」。音楽の力を信じ、本番に臨む。