【投票しやすい環境】優しさを目指し考える(8月10日)

2019/08/10 09:55

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 七月の参院選とともに、県内の市町村で首長、議会議員選挙が相次ぎ、秋には県議選が行われる。六十五歳以上の人が県人口の三割を占める中で、年齢や体調、障害などにかかわらず、誰もが投票しやすい環境づくりがますます重要さを増す。

 市町村選管委は一つの投票区に、原則一カ所の当日投票所を設ける。例えば、福島市内には支所、学習センター、小学校、集会所などの八十一カ所に投票所がある。体の不自由な人が出入りに困らない施設はあるが、段差や階段がある場所も含まれ、簡易スロープを設置したり、人が介助したりする。投票所による設備の格差をなくす必要がある。

 当日投票所に段差や階段があるため、バリアフリー施設に設けられた期日前投票所を利用する人がいる。投票所の場所によって投票をためらってしまうことがあってはならない。

 総務省の「投票環境の向上方策等に関する研究会」は、二〇一六(平成二十八)年から高齢者の投票環境を話し合った。翌年に公表した報告書には、高齢者が投票しやすいような方法を複数に広げる大切さが盛り込まれ、「要介護5」の高齢者に認められている郵便による投票の対象拡大が提案された。提案の中で、場所や時間を柔軟に設定できる期日前投票の活用などは、既に採り入れられている。

 同じ市町村に住む有権者なら誰でも投票できる共通投票所は二〇一六年に制度化された。県内では川俣町選管委が昨年の知事選に続き、七月の参院選でも設けた。いずれも鶴沢公民館で、車椅子使用者に対応している。当日投票者に占める共通投票所利用者の割合は、知事選、参院選とも10%台だった。

 共通投票所には、単身や夫婦世帯の高齢者が、同じ市町村内で離れて暮らす子どもらと一緒に投票できる利点がある。商業施設に設置されれば、買い物も一緒にできて便利だ。

 共通投票所は全国的にはまだ普及していない。二重投票を防ぐための対策が不可欠で、全ての投票所をオンラインで結ぶ費用や、職員の配置が課題となる。

 商業施設を共通投票所や当日投票所に活用する場合、衆院の解散、首長の突然の辞任などの急な選挙への対応が課題となる。また、選挙ごとに投票所が変わる可能性があり、有権者の混乱を招く懸念がある。

 誰にでも優しい投票環境を目指し、制度の活用も含めて有権者が意見を出し合う努力が大切だ。(三神尚子)