じゃんがら念仏踊り(8月14日)

2019/08/14 09:17

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 大切な家族を亡くした人は、特別な思いに駆られる。月遅れのお盆を迎えた十三日、仏間に飾られた真新しい盆提灯[ちょうちん]にそっと触れたり、迎え火をたいたりした。淡い光の中に、ありし日の面影が浮かぶ。

 いわき市内で、じゃんがら念仏踊りが故人の魂を慰める。かすかに聞こえる太鼓と鉦[かね]の音が少しずつ大きくなる。子どもたちが「じゃんがらが来た」と叫びだす。そろいの浴衣をまとった若者たちが一礼し、演奏と舞を始める。緩やかな拍子は次第に激しさを増す。

 ひときわ大きく打ち鳴らされ、終わりを告げる。一瞬の静けさは、永遠の別れを思い起こす。江戸時代に広まったとされ、元々は新盆の家々を巡る踊りだった。今は祭りや盆踊りなどの多くの催しに招かれる。百二十余の青年会や団体が受け継ぎ、古里を代表する宝として守り続ける。

 踊り方や拍子は地域で異なる。自然や気候、文化が多彩な、いわきを映し出す。七月に開館二十周年を迎えた市暮らしの伝承郷は毎年、踊りの実演を披露する。今年は十四日午後一時ごろから小川地区の青年会が演じる。伝統の舞が慰霊の心をよみがえらせる。激しくも物悲しい音色に、先祖の姿を重ねる。