会津の宝を守るには(7月1日)

2020/07/01 09:23

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 明治、いや大正か。こちらは昭和初期かもしれない…。会津若松市は街歩きが楽しい。有名な七日町通りだけでなく、そこかしこで古い木造の商店や民家、蔵に出会う。先人を敬い、歴史に強い愛着を持つ会津人の心意気に感じ入る。

 中心部の竹藤は、一八四一(天保十二)年に建てられた会津最古の商家。銀行や郵便局のビルに隣り合いながら、浮世絵から飛び出たような、幕末の景色の断片を今に伝えている。嫁ぎ先の猪苗代町から通いながら守っている笠間和歌子さんの情熱があればこそだ。

 保存には修復と利活用が要る。そう考えて支援金を募り先月、母屋にカフェを開いた。ただ、費用は想定を超えた。さらに、店舗入り口の戸板や障子戸にも難がある。直したいが、市の補助金だけでは心もとない。笠間さんは「同じ思いを持つ人の希望になればと思ったけれど…」とため息を漏らす。

 昨年、国登録有形文化財となったが、補修のための助成はないという。竹藤だけに限らない。建物が古ければ古いほど個人の努力だけでは維持が難しい。地方創生の宝として、行政も民間も力を携えて守りたい。所有者たちの思いに報いる、妙案はないものだろうか。