【読書週間】家庭に本のある生活を(10月21日)

2020/10/21 09:28

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 「ラストページまで駆け抜けて」。二十七日に始まる今年の読書週間の標語だ。速さを競うわけではない。それぞれのペースでページをめくればいい。速くても、ゆっくりでも、読み終えたときの感慨は変わらない。読書は語彙[ごい]力を高め、想像力や思考力を育む。週間を契機に、家族みんなで本に親しんでほしい。

 「読書離れ」「活字離れ」が叫ばれて久しい。小学生から高校生までを対象にした県教委の二〇一九年度の読書に関する調査では、「一カ月に一冊も本を読まない」と答えた割合が前年度より増えている。小学生は1・5%で前年度比0・1ポイント増、中学生が17・7%で同3・0ポイント増、高校生が41・9%で同2・1ポイント増だった。どの年代も「雑誌やマンガのほうが好き」との理由が上位に並ぶ。

 県は二〇〇三(平成十五)年度に「子ども読書活動推進計画」を策定した。市町村などと連携し、数値目標を掲げて本に親しむ機会の充実や環境の整備を進めている。数年ごとに見直し、今春、第四次計画が始まった。赤ちゃんに絵本を送るブックスタート事業や本を持ち寄って魅力を紹介し合う書評大会・ビブリオバトルなど、工夫を凝らして本の世界にいざなう。

 最近は「読書通帳」が読書量増加に貢献している。図書館で本を借りる度に、個人の通帳に書籍名、日付などが印字される。自分の読んだ本の記録が貯金のようにたまっていくのを目で確認できる楽しさがある。県内では矢祭町や泉崎村などの学校や図書館で効果を上げている。

 子どもの読書推進策が充実する一方で、大人向けの対策は少ない。子どものお手本として自ら書物を手にするのが大人なのだろうが、現実は厳しい。小、中、高と年齢が上がるにつれて減少した読書習慣が、大人になって急に戻ることはない。十六歳以上を対象にした文化庁の二〇一八年度の世論調査で、一カ月に読む本の冊数をゼロと答えた人は47・3%だった。

 同じ調査の「読書量を増やしたいか」の問いには、60・4%が「そう思う」「ややそう思う」と答えている。読書の必要性を感じながら、踏み出せない現実がうかがえる。

 新型コロナウイルスの感染予防策を踏まえた新しい生活様式が求められる今、読書を始めるチャンスではないか。物語や紀行、詩などがさまざまな場所に連れて行ってくれる。読んだ本に関して家族で語り合えば、さらに世界は広がる。家族の絆も深まる。読書の秋に本のある生活をお勧めしたい。(鈴木 俊哉)